入れ歯、ブリッジ、インプラントから考えるメンテナンスの必要性

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虫歯や歯周病で失った歯の治療を終えると「やっと治療が終わった!もう歯医者に通わなくていい!」とつい安心してしまいませんか?

歯の治療は、悪い歯を治して終わりではありません。つまり治療終了がゴールではないのです。

そこから始まる予防処置が、これからのあなたの歯と体の健康状態を左右すると言っても過言ではありません。

失った歯の機能回復手段として入れ歯、ブリッジ、インプラントがありますが、なぜメンテナンスが大切なのか。メンテナンスの必要性を、それぞれの特徴に沿ってお話します。

1.入れ歯(部分入れ歯、総入れ歯)のメンテナンスの必要性

部分入れ歯になったらメンテナンスなど必要ない、と思われている方もいると思いますが、それは大きな間違いです。

部分入れ歯を長く使うためには、土台となる歯が健康であることがとても大切です。

メンテナンスでは、土台となる歯をはじめとしたご自身の歯に問題がないかどうかを確認し、問題があれば治療を行います。

入れ歯は食べかすが詰まりやすく、口腔内が不潔になりがちです。口腔内の衛生が保たれていないと細菌の温床となり、虫歯や歯周病の原因になってしまいます。

特に土台の歯が歯周病になってしまうと、進行具合によりせっかく作った部分入れ歯を使うことが難しくなり、抜歯をして新たに作り直しが必要になってしまうことがあります。

そして土台の歯だけでなく、残っている歯を虫歯や歯周病から守るためにメンテナンスを受け、異常がないかどうか確認します。

その他に、部分入れ歯の方は、問題なく入れ歯が使えているかどうか、口腔内に異常がないかどうかチェックを行います。

噛み合わせに問題はないか、歯にかける金具がゆるくなっていないか、ピンク色のプラスチック部分が歯ぐきに擦れて傷や口内炎ができていないかなどを確認し、必要に応じて噛み合わせの調整などを行います。

総入れ歯の方は、入れ歯がきちんと合っているか、痛いところはないか、ガタガタしないかどうかを確認します。

総入れ歯は、作製した当初は口腔内にぴったりと合っていますが、使っていくうちにだんだん顎の骨が吸収され痩せてしまうことで、歯ぐきと入れ歯の間に隙間ができてしまいます。

そこへ食べ物が入り込んでしまうと、噛んだときに痛みを感じてしまいます。

また、合わなくなってきた入れ歯ではしっかり噛むことが困難になるだけでなく、噛めないことで脳の活性化に影響が出てしまいます。

つまり認知症などを引き起こす可能性があるということです。

合わない総入れ歯が嫌で入れ歯を使わず歯ぐきで食事をする方がいますが、これでは食事も満足に行うことができません。よく噛まずに飲み込んでしまうため消化不良を起こしやすくなり、胃腸に負担もかかってしまいます。

また、よく噛まないことで唾液の分泌も少なくなり、口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなります。そのため口腔カンジダ症などを引き起こしやすくなってしまいます。

そしてよく噛まないことで、脳の活性化に影響が出てしまうため、認知症になってしまう恐れがあるなど、体や脳に様々な影響が及んでしまいます。

このように、総入れ歯のメンテナンスでは入れ歯のフィット具合と噛み合わせの確認、歯ぐきの状態などを調べ、快適に使うことができるよう調整します。

入れ歯なのでメンテナンスは不要というのは間違った認識です。いつまでも快適に入れ歯を使うことができるよう、歯科医院でのメンテナンスをきちんと受けることが大切です。

2.ブリッジのメンテナンスの必要性

ブリッジを付けた方の大きなメンテナンス目的は、口腔内全体のチェックおよび二次カリエスの早期発見、早期治療と土台の歯の根が折れたりしていないかどうかなどの確認です。

特に二次カリエスはやっかいです。

二次カリエスは一本の歯の被せものにも同様のことが言えますが、金属を被せた歯の内部から虫歯菌が侵入し、被せ物の下で虫歯が進行することを言います。

被せ物の下(銀歯)から虫歯が見え隠れした状態

 メンテナンスを怠ると、被せ物(銀歯)の下で、虫歯が再発、進行して二次カリエスになる恐れも

ブリッジはセルフケアが難しく、特にダミー部分の隙間は歯ブラシの毛先が届きにくいため、食べかすや汚れが残りがちになります。

歯間ブラシやブリッジ用のスーパーフロスを使うことである程度汚れを取り除くことができますが、セルフケアではどうしても限界があります。

この食べかすがやがてプラークとなることで菌の温床となり、ブリッジを支える歯(支台歯)が虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。

特に作製してから何十年も経っている場合、ブリッジと歯ぐきの間に隙間が出来ていることが多く、そこへ汚れが溜まることで歯周病になっている場合があります。前歯の場合、見た目にも問題が生じてしまいます。

また、磨き残しが大きな要因となり、強い口臭を引き起こします。一般的にブリッジは口臭の原因になりやすいと言われています。

口臭の原因は様々ですが、きちんと歯みがきをしているのになぜか口臭が気になるのは、ブリッジの隙間に残った食べかすから作られるプラークが原因の場合もあります。

セルフケアが難しいブリッジは、やはり歯科医院でメンテナンスを受けることが最も望ましいでしょう。専用の器具を使い、口腔内の汚れを取り除くことで二次カリエスのリスクや口臭を防ぎます。

その他にもメンテナンスでは、支えの歯の根が折れていないかなどをチェックします。

特に奥歯は金属素材を使用することが多いため、支台歯(ブリッジを支える歯)がダメージを受けやすくなります。違和感や痛みを感じて来院したときには既に歯の根にヒビがいっている、あるいは折れてしまっている可能性があります。

そして支台歯が失活歯(神経を取った歯)の場合、天然歯よりも脆い状態のため、より歯根破折を起こしやすくなります。

歯ぎしりや噛みしめの習慣がある方は、さらにそのリスクが高くなるでしょう。

噛み合わせが強過ぎないか、二次カリエスになっていないか、口腔内は清潔か、また違和感を感じていないかどうかを確認するためのメンテナンスです。

自覚症状が出てから来院するのではなく、定期的にメンテナンスを受け、適切なアドバイスを受けましょう。

3.インプラントのメンテナンスの必要性

インプラント治療後のメンテナンスは非常に重要です。

インプラント治療後のトラブルで最も多く、重篤な影響が出る「インプラント周囲炎」。これはメンテナンス不足が招くために起きる、歯周病のような症状です。

口腔内の清掃状態が悪く、歯周病菌がインプラント周囲に繁殖することで歯ぐきの腫れや出血、さらに症状が進行すると、やがて顎の骨を吸収し始めます。

顎の骨が吸収され始めると、やがてインプラントが揺れ始め、最悪の場合インプラントが抜け落ちてしまいます。

再度インプラントを埋める手術を行おうにも、歯周病菌により吸収された顎の骨の量ではインプラントを支えることが難しく、骨の移植が必要になるなど大がかりになり時間も費用もかかってしまいます。

また、再インプラントが不可能な場合、ブリッジか入れ歯になるため、せっかくのインプラントが無駄になり、後悔してしまうことは目に見えています。

インプラントを長持ちさせ快適に使うために、家庭でのセルフメンテナンスに加えて歯科医院での定期的なメンテナンスは必須です。

なぜ歯を失ったのか、そこから考えるメンテナンスの重要性

ここでもう一度考える必要があります。それはなぜ定期的なメンテナンスが必要なのか。

せっかく高い費用と時間を費やしてインプラントを行ったからメンテナンスを行うのではありません。

これは入れ歯でもブリッジでも同様ですが、なぜ歯を失ってしまったのか、そしてこれ以上大切な歯を失わないようにするためにどうすればよいのか。

自分の歯を失っていくことは本当に悲しいことです。

費用と期間を費やした補綴物を長持ちさせ、歯と口のコンディションを良い状態に保つためには予防です。

メンテナンスの必要性を理解しながら、同時に歯の健康と体の健康について今一度意識を高めてください。

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麻美 とうこ

歯科助手
略歴・3件の歯科医院にて歯科助手、受付業務を行っている。 歯に関する知識を日々習得中
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